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昨年末、和食のユネスコ無形文化遺産への登録が正式に決定しましたね。
日本料理のうち、海外からの影響を受けずに独自なものといえば「切る」という技法で、その代表例が「刺身」。『古事記』や『日本書紀』
にも描かれているように、私たちの祖先は鮮魚を生食するために、命がけで工夫と技術を積み重ねてきました。

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庖丁儀式は、平安中期以降から行われるようになった儀式で、三鳥(鶴、雁、雉)五魚(鯉、鯛、真鰹、鱸、鰈)の食材を人前でさばいて見せ、酒や料理をふるまいました。
右手に庖丁刀、左手に真魚箸(まなばし)を持ち、俎板の上の食材に一切手を触れることなく自身の六根清浄を念じ、天下泰平、五穀豊穣を祈り、すべての食材の生命に捧げる感謝の意を、「一刀一礼」の作法に則り料理するものです。
(魚、鳥を切る刀を「庖丁刀」、野菜を切る刀を「菜刀」といいます。)

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「鶴の御前庖丁式」は正月28日に宮中の清涼殿で天皇の御前で行われる厳かなものでした。式鶴、真千年、舞鶴、草鶴など多くの切形が残されています。
「鯉の庖丁式」にも龍門の鯉、長久の鯉、神前の鯉、出陣の鯉、梅見の鯉等の名称があり、その宴にふさわしい名称の切形で庖丁式が執り行われました。

この「庖丁儀式」は「源氏物語」、「宇治拾遺物語」、伊勢貞丈の随筆「纐纈の巻」など…多くの文献に記されています。

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四条流庖丁道の作法は、平安初期に料理研究家としても造詣が深く当代随一の庖丁使いと称されていた藤原山蔭卿が、光孝天皇の勅命をうけ、日本料理の約束ごとや決まりごとを定めたことに由来するといわれています。
「四條流庖丁書」によると、「庖丁儀式」は山蔭卿が、鯉を庖丁したところから始まったと記されています。鯉は魚の中でも最上位。横一列に36枚の鱗があるところから山蔭卿は36通りの「鯉の庖丁の切形」を創りました。
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一人が、景行天皇に日本最古の料理といわれるハマグリとカツオのなますを献上した磐鹿六雁命。もう一人がこの藤原山蔭卿です。
四條家からは、山蔭卿以後も多くの傑出した庖丁名人が生まれ現在もその流派が継承されています。
鎌倉、室町時代に武家料理が盛んになり、生間流、進士流、大草流、四條園流、四條園部流などの日本料理の流派が多数生まれましたが、大半は四條山蔭卿の流れをくむものとされています。

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庖丁式は平安時代に始まった古い儀式であるから尊い、庖丁技術が難しいから価値があると勘違いされがちですが…
両手に庖丁刀と真魚箸を持って、決して素手で素材に触れることなく料ってゆく姿は、自然・命を尊重し、礼に始まり礼に終わる日本人の精神性が表れており、世界に誇るべき日本独自の文化行事として価値あるものです!

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「庖丁儀式」は日本古来からの優雅な王朝文化財ですが、現在も神社の境内などで執り行われ、一般公開されています。有名なのは、神田明神の庖丁儀式。今年は1月12日の開催です。
装束姿で執り行われる日本料理の伝統を今に受け継ぐ「庖丁儀式」は、一見の価値あり。私も足を運びたいと思います!

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■神田神社だいこく祭 御奉納四條流庖丁儀式

日時:平成26年1月12日(日)13:30〜
場所:神田明神 御社殿
〒101-0021 東京都千代田区外神田2-16-12
御奉納者:四條流顧問 小田原 松堂氏
解説:四條流16代家元 入口 柏修氏
URL:http://www.kandamyoujin.or.jp/event/detail.html?id=2&m=00
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神森 真理子

ジャパン トラディショナル カルチャーラボ株式会社
代表取締役社長
慶應義塾大学卒業。パリ第三大学で映像・アートビジネスの勉強をし、松竹(株)に入社。ベルギー・フランス生活を通じ、「日本文化の活性化」という生涯の目標を見出し、会社員としてマーケティング・PRの仕事に従事しつつ、日本文化の伝道師として、日本文化の魅力を発信する企画・執筆・講演過活動を展開。日本文化に関する多数の企画・コンサルティングプロジェクトに従事した後、独立しジャパントラディショナルカルチャーラボ株式会社 代表取締役に就任。
+ART CLUB「食とアートの会」主宰。「銀座なでしこ会」幹事。
利酒師・ワインエキスパート・フードアナリスト1級。

ジャパントラディショナルカルチャーラボ
公式サイト:http://jtcl.co.jp/
ブログ:神森真理子の『食を!アートを!日本文化を!楽しもう』
http://ameblo.jp/mariko-kamimori/
連載:MYLOHAS『大和撫子のための和文化のいろは』
http://www.mylohas.net/eco/japanese_culture/

日本酒を楽しむスマホマガジン「酒ゼミ」
監修:現代ビジネス:安倍昭恵「対談『日本の食』を考える」

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