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前編

石井さんが料理研究家/オリーブオイルソムリエになったいきさつを教えてください。お母様も料理研究家でいらっしゃいますよね。

bg_bimajinStory-flower-icon母は海外の方に日本の料理を教えたりしていました。その料理教室の様子を見ていると、人がたくさんいて、賑わっていて、みんな幸せそうで。大きくなったら、自分もやりたいと思っていました。でも同時に、お金にならない仕事だということも母から聞かされていたので、最初は富士通に総合職として就職したんです。営業として企業用のサーバーを売っていたんですが、どうしても夢をあきらめることができず、退職して、イタリアの靴業界と提携していた靴の会社に転職しました。そこから料理研究家の家を訪ねたり、イタリアの地方料理の研究を始めました。そこで、素材の素晴らしさ、スローライフへの考え方、オリーブオイルの面白さを学びました。

イタリアでオリーブオイルソムリエの資格を取ったのは石井さんが最初ですよね。この職業に注目したのは何がきっかけだったんでしょう?

bg_bimajinStory-flower-icon最初のきっかけは中学時代です。私は部活が陸上で、中距離走者だったんですが、食事制限をして、油も抜いていた時期があったんです。結果、体重は減ったんですが、男性ホルモンが増えすぎて生理が止まってしまい、マネージャーに転向することになって。その時、「食」の大事さを痛感しました。その経験はとても大きなものだったのですが、実はそれでも油自体は好きになれなかったんです。

オリーブオイルそのものに興味をもったのは、その後、18で初めてイタリアを訪れた時です。食事のとき、シェフが皿に盛られたパスタに向かって、大量にオリーブオイルをかけているのを目の当たりにして(笑)。パスタを作るときにもうオイルは使われてるのに、その上から更にかけてしまうことにビックリしてしまいました。最初はパスタを食べるのを断ったんですよ。そしたら、「オリーブオイルは、(オリーブの)実を絞ってできるんだから、オリーブジュースなんだ。調味料みたいなもので、油だと思わなくていい。」と言われて。その考え方が面白いと思って、次第にイタリアの色んな食堂に行ってオリーブオイルの味を見始めたんです。

イタリアの食堂には、白ワインビネガーとオリーブオイルが常に置いてあって、それを自由に振りかけてサラダを食べたりするので、そういう味比べみたいなこともできるんですよ。
 すると、店によって味が違うんです。あっさりしているものも、変わった味のものもあるし、色も薄い黄色から濃いグリーンまである。一口にオリーブオイルといっても、多彩なバラエティがあることがわかって、とても面白かったし、勉強してみたいと思ったんです。

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その、オリーブオイルの種類の違いについて、
もう少し詳しくうかがってもいいですか?

bg_bimajinStory-flower-iconはい。そもそも100年以上前のイタリアは100以上の都市国家に分かれていました。つまり今のイタリアの都市は、昔は小国として、独立して存在していたんです。そういった歴史があるので、イタリアでは地方によって人種も食文化もまったく違いますし、使われるオリーブオイルも変わる。

おおざっぱに言うと北部、中部、南部で違いを分けることができます。北イタリアは、オリーブオイルというよりはバター文化。フランスやスイスとの関わりがありますし、ミラノより少し北のガルダ湖よりも北に行くと、寒くてオリーブオイル自体が採れないので。リグーリア州あたりのオイルはどちらかと言えば白身魚やエビ、ホタテなどの魚介類にあうマイルドでくせの少ないものが好まれます。だから、北で使われるオリーブオイルは、バターのような、苦みのすくない、マイルドなもの。

中部イタリアは肉料理や豆料理が多く、しかもいろんな獣の肉を食べるので、例えばイノシシなど、獣の臭いを消すために.香りや苦みの強いものが好まれるんですね。
南部イタリアのシチリアは、中東の国家に支配されていた時期もあるので、食べ物もアラビア風の料理もかいま見ることが出来ます。食べ物も青魚などを含め、バラエティー豊かな食材の宝庫なので、味が強すぎず、柔らかすぎない、果実味豊かな中間にあたるオイルがいいです。
フランスではワインと料理のマリアージュが大事だと言われますが、イタリアでは、そこに更にオリーブオイルが加わります。料理人やオリーブオイルソムリエは、今言ったような種類の違いを見極めて、料理に合わせて使い分ける必要があるんです。

とても面白いです。もちろんイタリアほどではないですが、最近は日本でも、オリーブオイルが料理に使われ始めた気がします。

bg_bimajinStory-flower-iconオリーブオイルソムリエの資格は2006年に取って、その時はまったく仕事にならなかったんですが、ここ3~4年で状況がすごく変わりましたね。オリーブオイルの輸入量が増えたり、日本の色んな場所でオリーブを育てる動きが始まって。健康に良いという評判も広まって買う人も増えましたし、だんだん楽しい感じになってきました。実際、イタリア、スペイン、ギリシャといった地中海性気候の国に住む人たちって、脳溢血や心臓病のような、いわゆる血管が詰まるような病気ではほとんど亡くならないんですよ。

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日本でオリーブオイルソムリエの資格を取ろうという人も増えてきましたよね。

bg_bimajinStory-flower-iconそうなんです。2009年に日本オリーブオイルソムリエ協会という社団法人が出来て、立ち上げの時期にオイルのテイスティングと、(料理、ワインとの)マリアージュについてご相談を受けて、講師をしたり、オリーブオイルテイスターというオリーブを学ぶ通信教育のための教材も執筆しました。オリーブオイルについて教えるときは、できるだけ料理に結びつけて考えるようにしています。どんな料理に使えるのかとか。

やっぱり食べることって楽しいですもんね。

bg_bimajinStory-flower-iconですよね(笑)。いくら健康に良いとはいえ、オリーブオイルを飲んだりすることを勧めても、みなさん続かないと思うんです。調味料としてはクセが強くて使えないと思われる方もまだまだ多いですし、そういった教え方の工夫は続けていくつもりです。

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(撮影:上平庸文 / インタビュー:森 綾 / 文:上野山純平)


Writer: 森綾のアイコン森綾

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