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 主に渋谷。時には吉祥寺、新宿、有楽町。ストリートはステージになった。彼が一人で立つこともあれば、ETHNIC MINORITYのメンバー、サトウヒロ、島野和樹と3人で立つこともある。

「ストリートでの演奏を始めたのは、2009年の秋頃から。サトウとぼくは早稲田の同期です。やり始めて、これだ! と思いました。これをやり続けることはぼくにしかできないと」

 やがて渋谷のTSUTAYA前や吉祥寺で100人単位の人が集まるようになった。

「渋谷で、2年前にイーストワークスエンターテインメントの担当者に声をかけてもらったんです」

 担当者の市川智一氏は言う。

「ストリートでこれだけの演奏ができるなら、ステージだったらどんなにすごいんだろうと思ったんです」

 これがETHNIC MINORITYのファーストアルバムにつながった。横田寛之は言う。

「だいたい、ある程度上手い人はストリートをやらないんです。特にジャズの人はやらないです。だから去年の1月にCDを出すまではずいぶんいろいろ言われました。そういう意味では、出せてほっとしました」

 それ以前にゴウダヴでは、2010年にファーストアルバム『表参道ワンピース』が発売になっている。こちらのバンドでもライブを行い、他のバンドにも呼ばれる。ほとんど2日に1回のライブと、プログラマーの仕事もある日々。そのことについて、日本の一芸主義のミュージシャンの中には不真面目だと見る向きもあるらしい。しかし彼はプログラマーの仕事も自分の大きな仕事だと考えている。

「音楽とプログラミングは両方ぼくの根幹にあっていいと思うんです。ぼくは根をつめて理論立てて考えるのは苦手で、感覚でいくタイプ。だけど、プログラミングをやっていると、そこが克服されてきた気がする。音楽がしゃきっとしてきたかなと」

 最後にどんな大物とセッションしたいかと尋ねると、意外な答えが返ってきた。

「ニューヨークに、80歳くらいの日本人で、牛ちゃん、という人(アーティストの篠原有司男氏)がいるんです。ボクサーの格好をして、グローブにペンキをつけて、白い大きな壁に打ち付けるパフォーマンスをする人なんですけど。ああいうのがいいな。一緒にやる、というよりは、ああいうふうになりたいのかもしれない。ただ打ち続ける。あの感じに」

 演奏中にエキサイトするとずり落ちそうになる眼鏡をぴっと上げる、あの仕草が、出た。

  • 出演:横田寛之

    1981年、岐阜県生まれ。父親が尺八、母親が三味線の師範という家に生まれ、13歳から始めたジャズを志して早稲田大学に入学、ハイ・ソサエティ・オーケストラで2年生でコンサートマスターとなる。卒業後はプログラマーの仕事と同時にプロのミュージシャンとセッションを続け、2009年からストリート演奏活動を開始。現在、ETHNIC MINORITYとゴウダヴという2つのバンドをもち、それぞれアルバムを発表してジャズ界からも大きな評価を得ている。
    http://www.gauchedavinci.com/

    ストリート・ソロ http://www.youtube.com/watch?v=V4tB_8udhV4
    ETHNIC MINORITY http://www.youtube.com/watch?v=dYYvSsN7Kzc
    ゴウダヴ http://www.youtube.com/watch?v=j8sXZIxYykE

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影:萩庭桂太

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